自分のタッチを見つけるには?

自分のタッチが定まらないという悩み

世の中にはイラストでも絵画でも、魅力のある絵やタッチは山ほどあって、

「こんな絵を描いてみたい」と目移りしてしまう…。

 

器用な人、こだわりが少ない人ほど、

あれこれ描いてみたくなり、タッチが定まらないものです。

 

タッチが定まらないことのデメリットは…?
  • 技術、世界観が深まらない
  • 作家自身に迷いが生じる
  • 覚えられにくい
  •  

自分のタッチを見つけるためには、どうしたらいいか考えてみました!

 

アートとイラスト仕事の違い

まず理解しておく必要があるのが、「アート」と「イラスト仕事」の違いです。

 

イラスト仕事の場合、「仕事先の要求に応える」ことが第一です。

仕事の場合はたいてい何かしらの制約があり、

アート性にこだわり過ぎず、割り切りも必要になります。

また、様々なタッチを描けることもイラストレーターとしての武器になります。

 

仕事ではないアート作品場合は、

作家自身がテーマを決めて制作をします。

 

「描かずにいられない絵」がある人

自分の内的動機から、描かずにいられない絵を持っている人もいます。

 

メキシコの女流画家フリーダ・カーロが描いた絵は大半が自画像で、

そこには病気や事故の影響が色濃く表現されています。

 

フリーダ・カーロ画
フリーダ・カーロ

 

描かずにいられない絵を持っている人は、

繰り返し同じモチーフ、同じタッチで多数の絵を描きます。

結果的に、技術の向上と、世界観が深まり、

「その人ならではの世界」がつくられていきます。

 

では、とりあえず「描かずにいられない絵」がない場合はどうしたらいいでしょうか。

 

自分が気持ちいい画法を見つける

なによりも、自分が描いていて「気持ちいい」と感じられる画法が良いです。

 

「下半身の力で描く」という言葉を読んだことがあります。

頭で考えて描くのではなく、もっと本能的な衝動から描く絵は、力があります。

 

描いていて、ある意味官能的になる、エクスタシーを感じる…

もしそんな瞬間があれば繰り返し同じタッチを試してみましょう。

 

同じタッチで100枚描いてみる

描いていて「気持ちいいかも」と思える画法があったら、

とりあえず一定期間、同じタッチで描き続けてみます。

 

どんなことでも、「100個つくってみる」というのは効果があります。

100個つくれば、ある程度「体で分かる」状態になります。

 

 

私は以前、ドライポイントの技法で毎朝3枚ずつ描いていた時期があります。

早起きして、(なぜか)エルトン・ジョンを聴きながら

机に向かってハガキ大の樹脂板にニードルでカリカリと描いていました。

 

3枚描きあがるとインクを詰め、自宅用の銅版画プレス機で刷りました。

黙々と、ストイックに…2か月ほどは続けていました。

 

実際のところ、展示できる作品ができたわけではなく、

イメージづくりとドライポイントの実験のようなものでした。

なんだこりゃ?なものもたくさんありました。

 

それでも当時は、なんの下準備もなくイメージを版に直接描く、

それを刷って紙に定着させるというやり方にハマっていました。

 

イラスト写真
毎朝描き続けたドライポイント版画

 

このとき200枚くらい同じ画法でつくったので、

今でもすんなりと同じやり方でやれると思います。

 

先に、アート作品の場合は制約はなく、自分でテーマを決める、と書きましたが

自分で制約をつくることで描きやすくなります。

タッチという制約をつくり、集中してある程度の量を描くことで

自分のタッチにしていくことができます。

 

一つのタッチにこだわらなくてもいい

ここまで、自分のタッチを見つける方法を考えてきましたが、

一つのタッチにずっとこだわる必要はありません。

 

一度習得したタッチは自分の中に残っていくので、

新たなタッチを模索し身に付けることで、より独自のタッチになっていく可能性があります。

 

  • ピカソは生涯の中で様々なタッチの絵を残しています。
  • 手が慣れてしまうことを避けるために、新しい画材に挑戦し続ける画家もいます。

 

まとめ

自分のタッチがあることのメリットは
  • 技術、世界観が深まる
  • 制作時にブレない
  • 人に覚えてもらいやすい
自分のタッチをつくるには
  1. 描いていて「気持ちいい」画法を見つける
  2. 同じタッチで100枚描いてみる

 

タッチが定まっていると制作がしやすく、また、人に覚えてもらいやすくなります。

気持ちよく感じることを追求して、より独自のタッチ、世界観を深めていきましょう!