- 子どもに落ち着きがなくて気になる
- なんだかイライラしている
- 気持ちが通じにくい
子どもも大人も、自分の気持ちが分からなくて落ち着かないことってありますよね。
発達支援の現場でも、子どもにとって何が良いのかを模索しながら
いろいろなアプローチをしています。
今回試してみた8の字描画は、
『トラウマからの解消 フォルメン線描とイメージ呼吸』(田上洋子/著 現代書籍)
を参考にしています。
Contents
眼を動かすことが癒しにつながる
トラウマ(PTSD)の解消で近年注目されているものに、
『EMDR』という手法があります。
EMDRは、
眼球を意識的に動かして脳の神経細胞を刺激し、心の混乱を解きほぐす
という方法で、欧米ではすでに広く行われているのだとか。
ただEMDRは指示に従って強制的に眼を動かす方法であり、
ある患者さんや小さい子にとっては苦痛であることもあるそうです。
その点で、8の字描画は患者が無理なく円滑に眼球運動ができる方法で、
著者の田上さんのクリニックで実践してきた手法です。
シュタイナー教育の『フォルメン線描』をもとにしています。
子どもと8の字描画をやってみたところ、
気持ちよさそうにぐるぐると描き続けていました。
8の字描画のやり方
- A3くらいの紙
- クレヨン、クーピーなど
- 8の字描画の見本
- 紙を横長に置き、真ん中にクレヨンで目印の点を打ちます。
- 好きな色のクレヨンを選びます。
- 真ん中の点を通るようにゆっくりと「横にした8の字(∞)」を描きます。
- だんだんとスピードを上げ、気持ちいいスピードで繰り返します。
- 途中で色を変えてもOKです。
子どもとやるときは、発達段階に合わせて初めは手を添えたり、
声掛けをしながら行うと良いですよ。
慣れてきたら、
- 縦の8の字
- 縦横組み合わせた8の字(四葉のクローバーのような形)
上の男の子の例ではある程度で終わりにしたけれど、
何百回と繰り返してもOK!
「8の字」描画法を複数の本で見る
『トラウマからの解消 フォルメン線描とイメージ呼吸』以外に、
これまでいくつかの本の中で「8の字」のような描画法を見たことがあります。
- シュタイナー教育のフォルメンの本(『フォルメン・レッスン1 小学1/2年生』)
- 発達支援の絵画指導の本(『アートびっくり箱 障がいのある子どもの絵画指導』
- 発達支援の手先と身体の動きの本(『3・4・5歳の体・手先の動き指導アラカルト』)
シュタイナー教育のフォルメンの本
フォルメンは、シュタイナー教育での基礎的なもので、
小学校の1、2年生で学びます。
正しい姿勢と持ち方で、色と線を感じていきます。
フォルメンの発展形として、8の字(∞)も出てきます。
先にも述べたように
『トラウマからの解消 フォルメン線描とイメージ呼吸』の8の字描画は
このシュタイナー教育のフォルメンが元となっています。
発達支援の絵画指導の本
「ボックスドローイング」と名付けられた、
画材の紙箱のフタの底などにぐるぐると線を描く方法です。
もともと子どもが自発的になぐり描きを始めたことから発見したそうです。
イライラした子どもが、このなぐり描きを繰り返していると
気持ちが「絵を描く楽しさ」に変わっていくのが分かるのだとか。
この方法は8の字に描くわけではなく、自由な手の動きの繰り返しから生まれる線になります。
四辺に箱の枠があるので、手や腕の調整が苦手な子でも繰り返し描くことができるんですね。
発達支援の手先と身体の動きの本
「ビッグサークル」の応用として載っていました。
ビッグサークルはA3くらいの大きな紙に大きな円を描き中を好きな色で塗る方法です。
体の重心を安定させること、左手で紙をしっかり押さえることなどを目的に
書くことが苦手な子への指導法として紹介されています。
上の3冊の本は、目的は少しずつ異なりますが、
8の字描画で得られる効果がいろいろなところで見られていることが分かります
まとめ
ぐるぐると繰り返し8の字(∞)を描く方法には、気持ちを落ち着かせる効果があります。
大きめの紙とクレヨンだけで、
幼い子も大人も簡単に取り組めます。