こちらの記事は『スクリプトドクターの脚本教室・初級編』(三宅隆太著/新書館)の内容を参考にしています。
「殻を破る瞬間」とクライマックスの関係
物語のクライマックスの直前に、
『主人公が自らの殻を破る瞬間』のエピソードを描くことで、
クライマックスの充実度が変わってきます。
また、主人公の『殻』を設定することで、
主人公の世界観や思考パターンを明確にし、ストーリーラインを組み立てやすくなります。
クライマックスまでの流れは次のようになります。
- 主人公の『殻』は、思考パターン(思考のクセ)からつくられ、本来の自分が望んでいる行動にブレーキをかけている。
- 主人公に「殻を破るための行動」を起こさせるために、主人公を徹底的に追い込むようストーリーを組み立てる。
- ギリギリまで追い込まれた主人公は新たな行動を起こし、思考のクセを抜け出して『殻』を破り、クライマックスへ向かう。
人生を劇的にする
「派手なクライマックスがある劇的な物語より、繊細な物語が好き」
あるいは「自分の人生はたいしたドラマもなく、平凡に生きてきた」
と思う人もいるでしょう。
ですが、私たちは皆、成長の過程で何かを抱え、何かを乗り越えながら生きています。
また、繊細な物語であっても「読み手の感情を動かす」ストーリーを組み立てる必要があります。
「人生に何も起こらない」と思う人は、
「自分の人生に起こっていることは大したことじゃない」
という思い込みがあるのかもしれません。
意識して思い返せば、大きな成長物語や、
人に話せばびっくりされるようなエピソードがきっとあるはずです。
また、気付かないうちに「思考のクセ」に縛られ、殻をつくっている場合もあります。
自分に不満があったり、自分の思考のクセに苛立ちを覚える時は、
殻を破る準備ができているということ。
自分の感情の動きに敏感になれば、
日常の中にいくつもの「殻を破る瞬間」やドラマがあることに気付きます。
こうしたエピソードは、あなたの世界観の確立やブランディングにも役立ちます。
そこにはその人の感情の動き、小さな『殻』を破る瞬間、ドラマとストーリーがあります。
人生は「劇的なるもの」ではなく、「自分の意思で劇的にしていくもの」です。(三宅隆太)
