性格の成り立ちとストーリー

 

こちらの記事は『スクリプトドクターの脚本教室・初級編』(三宅隆太著/新書館)の内容を参考にしています。

 

 

「自分はこういう性格だから仕方ない」

なんて思うことはありますか?

 

性格は生まれつきのものではなく、環境や経験によりつくられていくものです。

今回は、性格がつくられる仕組みと「ストーリー」との関係についての記事です。

 

性格とは思考パターンの集合体

 

性格とは、一つの「こういう性格」というものがあるのではなく、

その人の「思考パターン」の集合体です。

 

思考パターンというのは、ある状況に対する反応のパターンです。

 

特に、その人にとって「ある危機的な状況」になった時、

自分の心を守るために「こうすれば乗り切れる」という思考方法を生み出し、

危機的状況を回避しようとします。

 

その経験により、同じような状況が現れると自動的に

同じ(危機回避に成功した)思考パターンが発動されます。

 

同じような行動パターンを繰り返すうちに、

それが他者や自分にとって「性格」として捉えられるようになります。

 

思考パターンの流れ

 

思考パターンは次のようなプロセスをたどります。

 

  1. 環境から「刺激」を受ける
  2. 自分の「価値観」に照らし合わせて「認知」する
  3. 「感情」が生まれ「身体反応」を起こす
  4. 「感情と身体反応」に基づき「行動」を起こす
  5. 「結果」が生じ、②にフィードバックされることで「価値観」が強化される

 

例として、いくつかの思考パターンを考えてみます。

人見知りの5歳の女の子
  1. ママと公園に行ったら遊具で知らない子が遊んでいる
  2. 「知らない子の中に入るのは怖い」と思う(価値観)
  3. 「行きたくない」という感情生まれ、足が動かなくなる
  4. ママの後ろに隠れ「遊具で遊ばない」ことに決める
  5. やっぱり知らない子は怖い、という価値観が強化される

 

会議での発言
  1. 司会が皆の意見を求める
  2. 「間違ったことを言ってはいけない」と思う。
  3.  胸がドキドキしてくる
  4. 指されないようにうつむいて小さくなる
  5. 「やっぱり会議で意見を言うのは向いていない」という価値観が強化される

 

ポジティブな「価値観」の場合も同じです。

知らない道
    1. 散歩していたら知らない分かれ道があった
  1.  「知らない道はおもしろい」という価値観
  2. わくわくして、行ってみたいと思う
  3. 知らない道に行ってみる
  4. 「やっぱり知らない道はおもしろい」という価値観が強化れる

 

こうした思考パターンと行動パターンの繰り返しで

「引っ込み思案」「好奇心旺盛」などの「性格」が定着していきます。

 

一時期な避難所としての思考パターン

 

思考と行動のパターンはもともと、

その人が一時的に自分の心を守るために生み出したものです。

 

一時期な心の避難所だったはずの思考パターンが意識のうちに定着し(自動思考)、

思考のクセになります。

それが本来の自分の性格だと思い込んで、ますます行動を変えることが難しくなっていきます。

 

その「思考のクセ」が「本来の自分の望む方向」や「本来の性質」と違う場合は、

心の底で不満、苛立ちを覚えるようになります。

それは今となっては、本来の自分に「ブレーキ」をかける不要な思考パターンと言えます。

 

変えられるのは「行動」

 

思考パターンの流れの中で、変えられるのは④の「行動」です。

「感情と身体反応」を感じつつも、

「行動」を変えることで「結果」が変わります。

 

行動を変えることで、「思考のクセ」から抜け出すことができます。

 

物語のストーリーは主人公を行動させることで進む

 

物語のストーリーは、主人公を自ら行動させることで進みます。

行動せず思い悩んでいるだけでは、物語は進まない、

あるいは読者の心を動かす物語にはなりません。

 

物語を推進させるには、主人公が行動せざるを得ない状況に追い込むこと。

主人公の性格(世界観、思考パターン)を明確に設定し、

主人公を追い込むことで

主人公自らに、思考パターンの④の「行動」を変えさせる。

 

これがストーリーを進めるコツです。

 

まとめ

性格はもともと備わったものではなく、

後から身に付けていった「思考パターン」の集合体です。

 

「思考パターン」に縛られていると、本来の自分の望みにブレーキをかけている場合があります。

「行動」を変えることで、思考パターンの流れから抜け出し、

望む方向に向かうことができます。

 

物語では、主人公の世界観・思考パターンを明確に設定して、

主人公に行動を起こさせることでストーリーを進めます。