こちらの記事は『スクリプトドクターの脚本教室・初級編』(三宅隆太著/新書館)の内容を参考にしています。
世界観とは
創作界隈では「その世界が醸しだす雰囲気」や「舞台設定」
といった意味で使われることがありますが、本来は誤用です。
物語をつくる場合、主人公の目を通した世界が描かれます。
つまり、主人公の世界観を通した世界の物語になります。
これが狭義での「世界観」=「その世界が醸しだす雰囲気」ということになるわけです。
「世界観」は誰もが持っているもの。
自分の世界観を意識することは、物語の主人公の世界観をつくる上でも役立ちます。
あなたの世界観に気付くための質問
次の4つの質問に答えてみてください。
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- 今まで一緒に過ごして、一番ここちよかった人は誰ですか?
- その人といると、なぜここちよかったのでしょうか?
- 今まで一緒に過ごして、一番不愉快だった人は誰ですか?
- その人といると、なぜ不愉快になったのでしょうか?
この答えから、自分がどのような世界観を持っているのか考えることができます。
質問の答えから自分の世界観を考えてみる
私の場合、上の4つの質問の答えは、
一番ここちよかった人…イラストレーターの先生Sさん
その理由…夢や感じたことを何でも話せてすごく楽しかった
一番不愉快だった人…旅で知り合った女性Nさん
その理由…友人との会話に分かったような口調で話に割り込んでくる
この答えから、私は
1.夢や感じたことを無邪気に率直に語り合えることを求めている
2.よく知らないまま他人の領域に踏み込んでくることが許せない
という世界観を持っているようです。
さらに掘り下げて考えると、
1.このところモヤモヤと息苦しいのは、夢や感じたことを率直に語り合いたいと思いながら、できていない。
→いつの間にか他人に対して壁をつくるクセがついているようだ。
2.成長するにつれて、他人との距離感を取るのが苦手だと感じるようになった。
→私がSさんに不快感を感じたのは、自分と似ているからかもしれない。
つまり、同族嫌悪だった。
ということに思い至りました。
あなたの物語の主人公になれる人物とは
先ほどの質問の答えで出てきた2人は、実はどちらもあなたの物語の主人公になれる人です。
好きな人はともかく、嫌いな人に共感なんてできない!
嫌いな人なんかを主人公にしたくない!
と思いますよね。
ですが、不愉快に感じることも、自分の感情が動かされた(=感動した)ということ。
自分が何の感情も動かない人物では、主人公にすることはできません。
先ほどの私の例のように、掘り下げて考えるとなぜ不愉快に感じるのかの理由がわかり、
実は自分と似ているのだ、と気付くかもしれません。
不愉快に感じる人物の方が、人物像や設定に深みが出てくる可能性があります。
まとめ
世界観とは、簡単に言うと『何が許せて何が許せないのか』ということ。
自分の世界観を意識することは、自分の「心の前提=枠」を意識することです。
自分の世界観を意識してブランディングすることもできますし、
枠の外には、また違う新たな世界観があることにも気付きます。
世界観は固定されたものではなく、変えることができるもの。
まずは、自分が今持っている世界観を探ってみてはいかがでしょうか。
「世界とはこういうものだ、その中で人はこう生きるものだ」という
個々人の世界に対するものの見方のこと