こちらの記事は『スクリプトドクターの脚本教室・初級編』(三宅隆太著/新書館)の内容を参考にしています。
つくり手のやむにやまれぬ欲求
創作によるストレス解消は、「独りよがり」「自己満足」なのでしょうか?
つくり手が「本当に本気で」創作に自分の欲求不満解消、ストレス解消を求めるなら、
それは必ず誰かの心に響くものになり、他人のストレスをも解消させる可能性があります。
本気で欲求に向き合うことで、
創作のアートセラピー的側面が発動され、負の感情がアートとして浄化されます。
他人の顔色をうかがい、カタチをまとめることばかり考えてつくったものは、
人の感情を動かすことはできませんし、自分も達成感を得られません。
達成感を得るには、あなたが「あなたの書いている脚本」を信じるしかないし、
また信じられる脚本を書くしかない。(三宅隆太)
創作前と創作後で自分が変わらなければ意味がない
つくり手自身が殻を破る
物語のストーリーでは、
クライマックスの前に主人公が「殻を破る瞬間」をつくることで
推進力のあるクライマックスが描けます。
「殻を破る瞬間」は、それまで縛られていた思考のクセから抜け出し、
新たな行動を起こすこと。
つくり手が本気で、創作によって自分のストレスを解消しようとするとき、
創作するという行為自体が「殻を破る」ための新たな行動となります。
課題を設定する
とくに満たすべき欲求がないという場合は、
自分で課題を見つけ、設定する必要があります。
つくり手に「必然性」や「熱」がなければ、
キモチが入ったものはつくれません。
「この作品をつくることで今の自分を越える」という
課題を与えることで入れ込むことができます。
創作前と創作後で、自分に何の変化も成長もないものは「作業」でしかありません。
つくり手が本気で入れ込み、本気で面白がってつくったものだけが、
受け手の心を動かせる可能性があります。
![](https://risuana.com/wp-content/uploads/morinorippo2-e1578818183611.jpg)
人の心を動かす絵画も、画家のやむにやまれぬ欲求から生まれています。
同じモチーフにこだわる画家には、そのモチーフを描かずにいられない理由があるのです。
絵本が生まれるときも、作家が「今、その絵本をつくらずにいられない」必然性があるはずです。